「反対咬合」って遺伝する?!
歯科大学の授業では、反対咬合は遺伝すると教えられます。
それ故に反対咬合の患者さんが来たら、必ずと言ってよいほど、「家族や親せきの人に受け口の方はいらっしゃいますか?」と聞きます。
「います」という返答であれば、遺伝性が疑われます。
もちろん、必ず発症すると言う訳ではありませんが、反対咬合の遺伝因子を持つ子供さんの場合は、乳歯列の時に適切な予防治療を行い、骨格性の反対咬合に移行させない様に注意しないといけません。
歯科大学では、ハブスブルグ家の反対咬合の家系図を提示して、遺伝性の反対咬合が有ると教育しています。
しかしながら、反対咬合ではないのに、下あごが大きく見える異常もあります。
下あごだけが肥大する全身疾患で、脳下垂体の異常に起因する「先端巨大症」です。
全国に約7,000名いると推計される疾患です。
ハブスブルグ家の話に戻します。神聖ローマ皇帝カーハ5世も反対咬合で、鼻詰まりの為、いつも口が開いて、咀しゃくにも支障があったと伝えられています。
カーハ5世やひ孫にあたるフェリペ4世も下あごが突き出た顔貌だった事が分かります。
この王家の一族は子供の頃からの肖像画が残されていて、子供の頃は反対咬合ではなかったです。
現在では、両親ともに反対咬合であった子供は正常な咬み合わせの場合も有り、仮に反対咬合になったとしても、早期であれば治療できると考えられます。